忍者ブログ

剣士×コックの非公式同人サイトです。はじめてお越しいただいた方はfirstを御一読頂きますようよろしくお願い致します。

   
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



「さむくねェの?」



明日の仕込みを終え、甲板に出ると、
芝生の上で酒盛りをする緑の頭に声をかける。


「たまにゃァいいだろ」

右手に持っていた白いお猪口を目の前に翳す。
お猪口に並々注がれた酒から、薄い湯気がゆらりと立ち昇る。

「雪を見ながらの熱燗は、風情があって」

お猪口の上に、ひらりと淡雪が舞い、溶けて行く。
その様を愛でるように眺めると、クイっと一息に煽る。

「・・・まぁな」

サンジは薄く積もった雪をさっと軽く払うと、ゾロの隣に腰を下ろした。

「ほらよっ。つまみと追加の酒だ」

サンジが持ってきた盆の上には、
大根、牛スジ、タコ、ちくわぶ、こんぶが煮込まれたおでんと、
アツアツに燗を付けた米の酒が入った徳利が乗せられている。

「ん」

「おぉ」

空になったゾロの手元を顎でしゃくると、
出されたお猪口に酒を足してやる。


「お前も飲むだろ?」

ゾロはサンジから徳利を取り上げると、
サンジの目の前で徳利をゆらゆらとゆらす。

サンジは「もちろん」と言って、口の端をニっと上げた。





「キレーだなぁ」


いい具合に酒がまわって、頭がふわふわする。
寒いはずなのに、酒がまわってほてった体には、
時折肌の上で溶ける雪の冷たさも心地よい。
芝生の上に大の字に寝転がって空を見上げる。

はらり、はらりと桜の様に舞い散る雪は、積もるには淡く、
舞い落ちた途端に溶けてしまう。
けれど、それでも僅かずつでも世界を銀色に染めて行く。


「顔に雪が積もるぞ」

どこか呆れたような笑みを浮かべながら、
寝転がったサンジの頬をゆるりと撫でてくる。

「へへ。手、あったけーな~」

ごろんと転がってゾロの方に体を向け、
頬に乗せられたゾロの手にすり寄る。
乗せられたゾロの手を包むように自身の手を重ねる。


「・・・おれさ、雪ってキライだったんだ」

しんしんと降り積もる雪に、サンジは陰鬱な思い出しかない。
あたたかな太陽の光を遮り、青空を塞ぐ灰色の雲。
厚い雲を通して注がれる陽光は、冷え切った空気をあたためるには弱すぎて、
寒々しく静まり返ったモノクロの街並みに降り注ぐ雪は、
何もかもを白く覆いつくし、閉ざしてしまう。


「・・・でも、こんな雪ならいいなって」


儚く散りゆく桜の花のように、
はらりと舞っては溶け行く淡雪に、
みるのは、人の夢のはかなさか、命のはかなさか・・・。
塞ぎ込んだ群青の思い出と相まって、
感傷的に、そんなものを見ながら傾ける酒杯はキライだったけれど、
ゾロの、雪を見つめるやわらかな瞳に、
そんなに悪いものでもないかと思い出したのだ。



「おれの育った村では、冬になって雪が積もるとかまくらを作んだ」

「カマクラ?」

「雪で作った窯だ。その中にゴザ敷いて、鍋食ったり、みかん食ったり」

「楽しそうだな」

「大人は酒も飲んでたな。甘酒くれぇなら飲ましてもらえることもあったっけな」



降りゆく雪にゾロが思いを馳せるのは、
あたたかな故郷の情景だろう。

「年に何度も積もるもんじゃなかったが、みんな楽しみにしてたな」

ゾロは故郷を懐かしみ、優しげに目を細める。
彼の見つめる先には、どんな光景が広がっているのだろうと思う。



「・・・おれも、カマクラ作りてーな」

「こんな雪じゃ無理だぞ。もっと、ドラムくらい積もらねェと」

やっとうっすらと白く積もり出した雪を見ながら、
ゾロがおかしそうに笑う。
「そんなん分かってるよっ」
と少しふてくされたように言うと、さらにゾロが笑う。


ゆ~きやこんこん
あ~られやこんこん
降っても降ってもまだふりやまぬ


雪の日にバラティエに来た子供が歌っていた歌を口ずさむ。
イーストでは有名な歌なのだろう、
バラティエで、買い出しに出た街で、
何度も聞くたび、耳慣れなかったはずの歌もいつのまにか覚えてしまった。
あの子供たちも、うれしそうに窓の外を眺めていたっけ。


「懐かしいな、その歌」

言いながらゾロはお猪口を傍らに置くと、
サンジの隣に横になる。
片腕をサンジの腰にまわすと、引き寄せるように抱き込む。


いーぬはよろこび
にわかけまわる


「・・・ヘタクソ」

「・・・っウルセー」

小さく続きを歌ったゾロが、なんだか無性におかしくて、
ゾロの腕の中でクスクスと笑った。




「・・・雪、キレーだな」

「あぁ。綺麗だ」

ゾロの腕に抱き込まれたまま、サンジは空を見上げる。
僅かに漏れる月明かりに照らされて、
雪はキラキラと輝きだす。
たとえ、消えゆくと分かっていても、
その一瞬を焼き付ける様に輝く淡雪。


「次は、かまくらだな」

「あぁ。カマクラ。約束だからな」

「あぁ。約束だ」


ゆびきりの代わりに
溶け行く雪の様に、淡い思いを乗せて
唇をあわせた






-----------------------------------------------------------------------------

本当は先週の東京初積雪の日に書こうとした話。
ただ、2人にゆ~きやこんこんを歌わせたかっただけw
自分的にはすげー甘い話になってなんかかゆかったですw
なんとなく、サンジの生まれた日は雪が降っていたんじゃないかな~と思いながら書きました。




PR



「好きになったのが、サンジくんだったらよかった」


深夜、クルーが寝静まり静かなサニー号。
唯一明りの灯るラウンジで、
ナミはブランデーの入ったグラスをゆらゆらと弄びながら、
ポツリと独り言のように呟いた。

「・・・そしたら、もっと楽だったのにって思うのよ」

「じゃあ、付き合っちゃう?」


いつも通りのサンジの軽口も、この時間では少し色を変える。
虚飾めいた、どこか上滑るような響きとは違う。
ナミがYESと答えたら、本当にそうなってしまいそうな。

「・・・バカ言わないで」

ナミは甘ったるくなりそうな空気を打ち消すように、
わざと大袈裟につまらなそうに言った。

こういう時のサンジはダメだ。

普段のサンジは、女と見れば見境なくメロメロになって、
今時少女マンガでも言わないような、
よくも素面で吐けるなと思う程甘い言葉を並べ立てる。

サンジは客観的に見ればイイ男だと思う。
もちろん、喋らなければの話だが・・・。
ナミは四六時中サンジから前述の口説き文句を吐かれるのだけれど、
なぜかサンジのことを”男”として意識することがほとんどない。
なぜだろうと考え、それはサンジがナミをはじめとする女という生き物を、
神格化しているからだと思ったのだ。
もちろんサンジとて、女を抱いた事くらいあるだろうし、
女の汚い部分も知ってはいるのだろうが、
それを知った上で、神格化するのだ。
サンジの中で女とは、女であるというだけで美しく、尊いものなのだろう。
だからか、サンジの言葉には男なら当たり前にある性的な情欲があまり感じられないのだ。
故に、ナミもまたサンジを男として意識しないのだ。


ナミはたまに寝付けない時に、こうして深夜のラウンジで酒杯をかたむける。
よっぽど遅い時間でない限り、サンジがいるので、
お酒を飲みながらサンジと他愛無いおしゃべりをするのだが、
時折、サンジが妙な色気を纏っている時がある。
そういう時のサンジは、普段の軽薄さはなりを潜め、
普段は口から生まれたのかと疑いたくなる程に、おしゃべりで騒々しいのが、
本当に同じ男なのかと疑いたくなるくらい、凪いだ海のように静かな空気を纏う。
そんな時、ナミはサンジのことを”嗚呼、この人も男なのだ”と思い知らされるのだ。
骨ばって血管の浮く大きな手の甲だとか、
筋肉に覆われ引き締まった腕だとか、
パリっとした清潔なシャツに覆われた厚い胸板や、
声を発する度コクリと動く隆起した喉仏だとか。
普段は目が行かないような所にばかり目が行ったりする。
「この人は自分をどう抱くだろう・・・」
などと、決して普段は思いもしないことを考えてしまう時もある。


「オレはナミさんのこと好きだけど?」

サンジは言いながら、ラムに浸け込んだレーズンを混ぜたビターチョコを口に運ぶ。
赤い舌がちろりと覗いて、ナミの背が僅かにゾクリとする。

「でも、愛してるじゃないでしょ」

ナミが弄んでいたブランデーを一口含んでから、
自分に確認し、言い聞かせるように言うと、
サンジは否定とも肯定とも取れない曖昧な笑みを浮かべた。

「・・・オレも、隣にいるのがナミさんだったらいいのにって思うよ」

サンジが少し顔を傾げると、耳にかけていた金糸がさらりと頬に落ちる。
白い頬にかかる金のコントラストに目が釘付けになる。

「オレだったら、愛しのナミさんに、こんな風にさみしい思いさせないのに」

それまでの、どこか艶めいた空気を打ち破るように、
唐突に、普段の軽口に戻るサンジに、
ナミは縫い止められていた視線を手元のブランデーに戻す。

「・・・アイツは、太陽だから」

琥珀色の湖面に、ランタンの灯が映って丸い明りがゆらりと揺れる。

思い浮かべるのは、目眩い程に輝く太陽。
どんな時にも強く、時に強引に照らしつける。
あらゆるものを魅了するその光。

「どんなに必至で手を伸ばしても届かないし、
見つめようとしても、眩し過ぎて見つめられない」

焦がれても、焦がれても。
決して手に入らない。



「・・・あいつが太陽なら、ナミさんはひまわりだよ」

「ひまわり?」

「いつでも太陽の方を向いて、光を浴びてキラキラ輝く」

サンジの落ち着いたアルトが続く。

「雨に打たれて、風に晒されて、
それでも健気に太陽を信じて、まっすぐに太陽に向かって生きてる」

いつもの、甘ったるい口説き文句と変わらぬ言葉のはずなのに、
それはナミの心をふわりと包む。
雨の空に、虹がかかるように。

「オレはそんなひまわりが大好きだよ」

ナミは歪んだ視界を誤魔化すように、ブランデーを呷る。

「・・・バカ」

消え入りそうな声で呟いたのは、
精一杯の強がり。





ふいに、ガチャリと部屋のドアが開く。

「・・・酒、もらう」

それまでの空気を打ち砕くように、
ゴツゴツとしたブーツの音と共に、緑髪の剣士が入ってくる。

「もーお前なんなんだよ。オレとナミさんのらぶらぶタイムを邪魔しやがって」

いよいよ普段通りの、騒々しい口調へと戻るサンジ。
つい先刻までのやわらかな目元も、いつものチンピラのような悪さに戻っている。

「へぇへぇ」

サンジの言葉に、適当に返事をしながら酒棚へまっすぐ向かう。

「左の棚の真ん中の段だけだぞ。あと、ちゃんとグラスで飲めよな」

「いちいちうるせーな」

「うるせーとはなんだよマリモが。お前は反抗期の子供かっ」

ガヤガヤといつもの言い合いを始めた二人に、ナミはくすりと笑う。
ケンカをしているのに、その空気はあたたかい。

「アンタたちは、海と空ね」

「へ?」
「ハァ?」

ナミの言葉に、二人が言い合いを止め、頓狂な声をあげる。
そんな二人を尻目に、ナミはカタリとイスから立った。

「なんでもないわ。私、そろそろ寝るわね」

「あ、あぁ。おやすみ。あ、グラスそのままでいいよ」

「ありがとう。サンジくん」

呑み始める時には暗く落ち込んでいた心が、いつの間にか晴れている。
素直に、付き合ってくれたサンジに対する感謝の言葉と、
同時にナミの心に小さなイタズラ心がともる。
イスから立ち上がり、サンジに近付く。

「ゾロの甲斐性がなくなったら、私がいつでも相手してあげるからね」

「っっ!!!!」

言いながら、サンジの頬に手を添えると、さらりとした髪の毛にキスをした。

すぐに離れたナミのくちびるを目で追いながら、
サンジは真っ赤な顔で口をパクパクさせている。
その奥で、ゾロが唖然として口を半開きにしていたが、
すぐにどこか拗ねたような顔でふいっと視線を逸らせた。
普段は大人びて、あまり感情を表に出さないゾロのそんな子供じみた姿がおかしくて、
ナミは一人、笑い出しそうになるのを堪えながら、女部屋へと向かった。






----------------------------------------------------------------------------
一応ゾロサン、ル←ナミ前提です。
ナミしかり、ロビンしかり。
サンジと女性キャラの絡み(ゾサ前提)がすごく好きです。
これだけで普通に終わる予定が、拗ねたゾロがかわいそうだったのでw
ナミ退出後のゾロサン(R。むしろヤってるだけw)を近々up予定です。










もしも。
オレが死んだとして。

”ああしてやればよかったな”とか。
”こうしてやればよかったな”とか。
そんな変な気遣いみたいなのはいらない。
後悔なんて、そんな腹の足しにもならねぇようなもん欲しくはない。

感情をあまり表に出さないお前の、
小さな小さなやさしさを、
1つだってこぼさないようにするから。
どんな小さな出来事も、
この胸に抱いて、忘れないから。

ただ、此の時を愛して。









目が覚めると、見慣れたメリーの天井だった。
丸窓から漏れるのは僅かな月明かりで、今が少なくとも昼間ではないと分かる。

起き上がろうと力を込めると、全身に激痛が走り、
体を数cm浮かせたのみで、ベッドへ逆戻りした。

痛みに一気に覚醒する頭。


そうだ。
敵襲があったのだ。
あれは、ちょうど昼食を作り終えたくらいだったはず。
一番に応戦したルフィとゾロ。
それにすぐに加勢したはずだ。
それで・・・・・。



ガチャリと扉が開く。
音のした方に目を向けると、緑髪の剣士が立っていた。


「・・・コック」

小さく呟くように言うと、サンジの傍に歩んできた。
手には湯が入っているのか、湯気の立ち昇るタライと、
タオルを抱えている。


「目、覚めたか」

いつもとは違う、どこか悲壮な声と眼差し。

「・・・オレ」

「覚えてるか・・・」

「・・・あぁ」

ゾロの静かな声に、一気に記憶が蘇る。



そうだ。
自分は庇って傷を負ったのだ。

この、剣士を。



「・・・悪かった」

静まりかえった室内に、ゾロの低い声が響く。

「謝るなよ」

そう言いながら、サンジは上体を起こそうと腕と腹に力を込めた。
上半身に分厚く巻かれた包帯の下にあるであろう傷に激痛が走る。

「お前っ、まだ寝てろって・・・」

ゾロの制止を無視して、痛みを噛み殺しながらなんとか上半身を起こした。
たったそれだけの動作で、息は上がり、額にどっと脂汗が滲み、
この包帯の下の傷が決して軽くないことを思い知らされる。

ゾロの日に焼けた腕が伸びてきて、節くれだった武骨な指で、
サンジの額に滲んだ汗を拭う。

そのまま、ゾロの分厚い体が、サンジの体をガラス細工でも扱うように優しく包んだ。

「・・・なぁ。オレはどれくらい寝てた?」

問いながら、子供をあやすようにゾロの背中を撫でる。

「・・・3日だ」

「そうか」

ゾロはサンジを包んでいた腕を少し緩めると、
乾燥してひび割れた唇にキスを落としてきた。
絡めあう舌が、やけどでもしそうな程ジンジンと熱い。

「ゾロ」

名残惜しげに唇を離すと、ゾロは再びサンジの体を両腕で包む。

「ゾロ・・・・悪かった」




あの時。

サンジが敵船との戦闘に加勢に行った時には、すでに大半が倒れていたのだ。
いくら数が多いとはいえ、ルフィとゾロの力の前には、最早虫けらも同然。
加え、相手の船長はよくもこれで一船の船長をやっていたなと思う程、
意気地も、根性も、覚悟もない奴だった。
仲間の大半がやられ、自分の命も危ういと判断するやいなや、
ありったけの宝を差し出し、これで命は勘弁してもらいてェと懇願してきた。
一部始終をサニーの上から見ていたナミが、
お宝だけもらってさっさと戻ってきなさいと指示を出す。
ルフィもゾロも、こんな誇りもクソもない奴を打ち負かした所で、
なんの特にもならないと判断し、ナミの指示に従った。

手分けして差し出してきた宝を持ち帰ろうとしていた所に、
敵船の一人が向かってきたのだ。
未だ若い、血気盛んそうな青年にも満たないような男は、
すでにゾロに斬られでもしたのか、全身血塗れで、
それでも尚、両手に宝を抱えサニーに飛び移ろうとしたゾロの背に向かって、
短刀を両手に携え、飛び込んできた。

咄嗟に体が動いたのだ。

ゾロの背中に突き刺さるはずだった、男の振り下ろした二振りの短刀は、
ゾロを庇い、間に入ったサンジの両胸を貫いた。


ルフィの叫び声が、
ナミの悲鳴が響く。


飛びかかってきた男の勢いで、胸に二振りの刀を突き刺したまま、
サンジの体は、船の外へと放り出された。

落ちて行く景色が、スローモーションのように流れて行く中、
伸ばされた日に焼けた腕が、虚しく空を切るのだけが、
やけに鮮明に焼き付いていた。






「・・・怒る・・・よな」


負けるくらいなら、死んだ方がマシ。
そういう奴だ。
自分の行動は、こいつの自尊心をきっと傷つけただろう。


自分はたぶん、優しくなんかない。

残される痛みを、
誰かの犠牲の上に生きる苦しみを、
誰よりも分かっているはずなのに、
自分はいったい何度愛する者を残そうとしただろう。
何度、犠牲の上に立たせようとしただろう・・・。
頭では分かっていても、結局自分はこういうやり方しかできないのだ。
ゼフによって施された、これ以上ない程やさしく、けれどこれ以上ない程残酷な呪いを、
断ち切る強さを、サンジは未だ持てずにいる。



「何言ってんだ・・・てめェ」

サンジを包むゾロの腕に僅かに力が籠る。

「・・・何で庇ったりしたっ」

押し殺すような声は、まるで泣いているかのように震えている。


「・・・背中が」

どこもかしこも傷だらけのこの男の体において、唯一。

「お前の、背中」

歩んできた道程、胸に掲げた信念。
この男の全てをうつしたような、まっさらな。

「傷がつくのが・・・」

あんなからっぽの奴らに穢されるのが。
まっすぐに生きてるお前の、
このキレイな背中が踏み躙られるのが。

「・・・許せなかった」



男同士なのに、心も体も許し、愛し合う、
そういう仲だけれど、
それと同時に、サンジはゾロを一人の男として惚れ、尊敬しているのだ。
だから、

男として、
仲間として、
恋人として、

この男の背中を守りたかった。



「・・・アホが」

サンジの首元に埋めたゾロの声が一際震えた。
生温かいぬくもりが、サンジの肩に零れ落ちる。


「・・・悪かった」

「・・・約束しろ。もう二度と、こんな真似はするなっ」


ゾロの言葉に、無言で抱きしめ返す。




約束は、たぶんできない。

オレはわがままで、自分勝手だ。
もし、また愛した者の誇りが、信念が、命が奪われそうな時は、
きっと自分は同じ行動をとってしまうだろう。
甘美な呪いの連鎖を断ち切れない自分は、
そういうやり方しか、できない。

だから、これはオレのわがままなんだ。

それでも、後悔や、気遣いや、懺悔なんかいらないと。
オレは、お前がくれた至上のやさしさや、愛。
それだけでしあわせなのだから。



わがままなおれを、どうかゆるして。








---------------------------------------------------------------------------
◇大好きな某曲の歌詞を、そのままではないですが冒頭に使わせて頂きました。
ちょびっと弱いゾロが書いてみたかったんです。
そして、相変わらずうちのサンジは怪我してばっかですいませんw




  
last up
2013/07/21・・・ssに1点up
◇ブログは随時更新中

join
参加させていただいています
ゾロサンナビ
ブログ内検索
Copyright ©  -- L'amour est aveugle. --  All Rights Reserved

Design by CriCri / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]